路地裏Blue Night.
きっとそれは母からしたら良くも悪くもな提案。
けれどさすがの母親。
お父さんみたいに断ることはせず、1人の同い歳くらいの従業員さんにお店を任せて近くの喫茶店へ。
「…元気…してた?」
「…うん。お母さんも元気そうで良かった」
ちょっとだけ嫌味を込めてしまった。
そんなつもりはなかったけど、娘を捨てたのちの雑貨屋さんて……。
お弁当屋はそんなに嫌だったんかーーいって思っちゃったから。
「お父さんのこと…聞いたわ」
「…なんかもう、色々大変だったんだよ」
あなた出て行っちゃうしね、お父さんは知人を脅してお金を騙し取ろうとして逮捕。
闇金にまで手を出してた事実が判明して、私はヤクザに追われて男の子になって逃げて。
そしたら今度は窃盗団です。
そして花ノ宮高等学校に通ってるっていうね、カオスでしょカオス。
「…そう」
お母さんはそれだけ落としてアイスティーを喉に通した。
“そう”って…。
別に期待してたわけじゃないけど、でも1回くらい言ってくれてもよくない……?
“ごめんね”って。