路地裏Blue Night.
ここは「盗み聞きするつもりはなかったんですけど」なんて言うのが普通だけど。
でもそんなの嘘だし。
嘘をつく方が良くないでしょ?って、思っとく。
「ふふ、…情けない母親だったでしょう私」
「そうですね」
間も隙も遠慮もない即答に、これまたずるっと。
けど、あんなにも悲しい言葉を母親から贈られるなんて、いつも元気なミオにあんな顔をさせてくれるなんて。
さすがに母親らしくないな…って思ってしまった。
「だけど間違ってるとは思いませんよ僕は。お母さんにもお母さんの人生がありますから」
ってのは、建前。
僕は正直ホッとしてる。
一緒に暮らせない?なんて提案したミオに対して、ちょっとだけ不安がよぎってしまったから。
僕より母親を選んじゃうのか…なんて。
「…もしかして澪を救ってくれたのって、」
「はい。僕です」
「……ありがとう、ございます」
いいんですよ、そんなの。
だって救われてしまったのはミオじゃなく僕なんだから。
「ミオに会わない方が良かったですか?」
「…ううん。会えて、ちゃんと私の気持ちを伝えられて良かったわ」