路地裏Blue Night.
それだけ聞けて僕としては満足だった。
後悔してる、なんて返ってきたなら少し強めに言おうと思ってたけど。
まぁこれはこれでスッキリしていいんじゃないかなって。
本人は今すごく落ち込んでるかもしれないけど、そこも感謝してる。
僕の見せどころを作ってくれたようなものだから。
「澪を、…どうかよろしくお願いします」
「きんぴらごぼう」
「…え、」
「すごく美味しいんです、ミオが作るきんぴらごぼう」
さすがお弁当屋さんの娘だ。
地味だけど、下ごしらえも手を抜かない手料理をいつも出してくれる。
「…それは、うちの定番メニューだったわ」
「やっぱり。ミオもいつも嬉しそうに作っていますよ」
きっと小さい頃から手伝ってたりしたんだろうね。
ごぼうをあんなにも細く切れる高校生って中々いないと思う。
「窮屈っていう言葉はさすがに僕も聞いてられませんでしたけど」
「ご、ごめんなさい…」
「再婚したって、他に家族を作ったって、それでもあなたはミオの母親には代わりない。なにかあったら話を聞いてあげるくらい…してあげてくれませんか」