路地裏Blue Night.
会わなくてもいい、電話だけでもいい。
だけどあの子は男として僕たちにいつもついて来て、学校でも男として生活してるんだ。
それでもやっぱり女の子だから、女性の支えだって必要。
母親に戻れとは言わない。
だけど同じ女性として味方では居てあげてほしい。
「それ以外は僕らがあの子を笑顔にしてみせますから」
僕に並ぶように颯、秀平、蘭くんも同じ気持ちで彼女を見つめた。
深々と頭を下げたお母さんは謝罪だけでなく、僕の意見に同意もしてくれて。
「じゃあ僕はこれから迎えに行ってくるね」
「え、ボクもいくよ…!」
「オレもっす…!」
「いや、ここは皐月に任せとけばいい」
さすが蘭くん、わかってる。
僕だって今日だけはミオを独り占めさせてほしいし。
きっとみんなが来ちゃうと、あの子だっていつもの調子に戻ろうと頑張ってしまうだろうから。
「みんなは明日からいつも通り“男の”ミオを可愛がってやってくれる?」
「え、男の…?」
「女の子のミオはこれから僕が可愛がってくるからさ」
「……え、ブスだよ!?可愛がってもブスはブスのままだよっ!?」
「颯、ずっと黙ってたけどそろそろ怒るよ僕」
ひいっと悲鳴を上げる颯へと意地悪にわらって。
ミオの荷物は彼等にまかせて、僕はすぐに喫茶店を出た。
*