路地裏Blue Night.
「澪。」
ズズズッ、ぐすっと、隠すことができない音。
だからここは察して欲しいのに。
あなたはとりあえず大人しくマンションに帰ってて、それでいつもどおり私を迎えてくれればいい。
そこでハグとかしてもらえれば、私はたぶん元気になる。
「おいで、ミオ」
「…俺は…S.Roberのナンバー5だ、それにもう高校生だし…、そんな甘えたこと───わっ、」
ぐいっと引かれて、よろけた身体。
ぽすっと腕の中に誘われてしまった。
「…たぶんいつも我慢させてたよね、僕。S.Roberとしても学校でも…きっと怖いことたくさんあるのに」
「……俺、へいき、毎日楽しいもん」
「僕から見たらミオはいつだって女の子だよ」
「よく言うよ…、最初は本気で男だと騙されてたのさっちゃんだけなのに」
「……」
泣いていいよ、なんて言ってくれてるつもりだろうけど。
こんな話を繰り返したらいつの間にか涙なんか止まってるものだ。
それどころかくすっと、笑顔まで飛び出してしまった。