路地裏Blue Night.




確かにさっちゃんが何かを言って、それを聞いた彼女は暴れ出してたような気がする……けど。


だからといってホテル入るぅ…?

個室なんかカラオケでいいじゃん、ネカフェだってあるじゃん。



「…ホテル行ったら別れてくれるとも言ってきたから。けど、もちろんそういうことはしてないよ」



説得力がまったくありません。

でもさっちゃんは嘘をつかない人だってことも知ってるから、私の中で天使と悪魔が言い合ってる。



「…別になんでもいいけどっ。私には…関係ないし、」


「僕には関係あるんだよ」


「ないよ、…だって弟に重ねてるだけだもん」


「……本当にそうかな」



抱きしめられていた腕が少し緩まった。

顔をあげさせるように誘われて、青い夜に騙されたような気持ちで見上げてみる。


やっぱり泣き止んではなかったみたいで、というか今の話をして流れてしまった。

それを隠そうと顔を逸らそうとしても駄目。



「や、…だからファーストキスは大事なんだってっ」



重ねてこようとするものだから、トンっと目の前の肩を軽く押した。

もちろんびくともしないけれど意識的に止まってくれた動き。



< 222 / 282 >

この作品をシェア

pagetop