路地裏Blue Night.
確かにさっちゃんが何かを言って、それを聞いた彼女は暴れ出してたような気がする……けど。
だからといってホテル入るぅ…?
個室なんかカラオケでいいじゃん、ネカフェだってあるじゃん。
「…ホテル行ったら別れてくれるとも言ってきたから。けど、もちろんそういうことはしてないよ」
説得力がまったくありません。
でもさっちゃんは嘘をつかない人だってことも知ってるから、私の中で天使と悪魔が言い合ってる。
「…別になんでもいいけどっ。私には…関係ないし、」
「僕には関係あるんだよ」
「ないよ、…だって弟に重ねてるだけだもん」
「……本当にそうかな」
抱きしめられていた腕が少し緩まった。
顔をあげさせるように誘われて、青い夜に騙されたような気持ちで見上げてみる。
やっぱり泣き止んではなかったみたいで、というか今の話をして流れてしまった。
それを隠そうと顔を逸らそうとしても駄目。
「や、…だからファーストキスは大事なんだってっ」
重ねてこようとするものだから、トンっと目の前の肩を軽く押した。
もちろんびくともしないけれど意識的に止まってくれた動き。