路地裏Blue Night.
「僕の名前よんで」
「…呼んだら…なにするの、」
「キスする」
なんっつーことをサラッと言ってしまうの、この窃盗団のリーダーは。
きっと私が少しでもOKだって素振りを見せてしまったらすぐに向かってくる。
それを名前を呼ばせることで作り上げてしまう彼は……ずるい。
「呼ばない…、ぜったい呼ばない、というか私いま落ち込んでるのに…!」
「だから尚更だよ。あんなの僕が忘れさせてやりたい」
忘れるわけない、忘れられない。
あんなに実のお母さんからズタズタにされちゃったんだから。
「ミオ、」
「っ…、さっちゃん、さっちゃん、」
「皐月、」
「……っ、さつ…き───っ、!」
呼んでしまいました。
呼ばないと言っていた10秒くらい前、こうも簡単に覆してしまうなんて。
それもこれも全部さっちゃんのせいにしておこう。
「ん…っ!んっ、」
私が名前を口に出した途端、「待ってました」なんて言われたように合わせられた。
反射的に引いてしまいそうになっても、後頭部に回された手が逆に引き寄せてくる。
「んっ!はっ…、まっ、」