路地裏Blue Night.




……なんで風邪のとき限定なの。

なんかよそよそしいし、私の反応をビクビクしながら覗き見てくる。


……かわいいんだけど。

なんかすっごくかわいいんだけど、このキューティクルボーイ。



「こんにちはー!出前お待たせ致しましたーー!!」



そんな日の昼休み。

ガラッと勢いよく開いた教室のドアから、白い帽子と板前ハッピ姿の見慣れた顔が登場した。



「えっ、秀平!どーしたの?」


「いいんでいいんで!ささっ!座っててくださいっす!」


「え、ちょ、……え、」



朝に貰ったフルーツサンドを広げていた机の上、今度は次から次にお寿司が追加されてゆく。


これって何人分…?

ねぇ秀平、ここに大家族からの注文でもあった…?



「こちらが特上セット!それでこっちがイカの握り5人前っす!!それでこっちがスペシャル25貫セットで、」


「まてまてまてっ!!さすがに多すぎるってば!!だれが食べるの!?」


「もちろん澪っす!!」



いやいやいや!!頼んでなーーい!!

頼んでないのにこんなに渡されるってのは、どう考えてもこれって朝の颯と同じパターンだよね…?



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