路地裏Blue Night.




もちろん“今は”まだ言えないけど。

でも必ず近いうち、私はさっちゃんから知らされていないことを知りたいと思う。


さっちゃんが私を優しく包んでくれたみたいに私だって同じようにしたい。



「ただいま~」


「おかえりミオ。今日は僕も帰りが早くて仕事もないし、ご飯つくっておいたよ」


「えっ、あっ、そうなの…?」



だとしても、だとしても、また別の問題がありまして…。


あの日、キスをしてしまった日以来、私はさっちゃんと顔を合わせる度に死にそうになっていた。

最近はずっと忙しいみたいで落ち着いて顔を合わせる頻度は少なくて、それは私からすればホッとして。


でも今日という日はなぜかイケメンがキッチンに立っていた。


なんてお出迎えだ、ここは天国なのでしょうか。

……それに、なに作ってるのそれ。



「え、ローストビーフ……?」



ローストビーフじゃない…?

それってローストされたビーフじゃないの…?



「うん、あとはパエリア。すき?」



………ヤバくね?

私なんかきんぴらごぼうとか炊き込みご飯とか、地味なものばっかなんだけど…。

作ってもエビフライとか、そんな5歳児が喜ぶようなメニューだよ…?


え、控えめに言ってやばくない……?



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