路地裏Blue Night.
『知っとるかァ?このガキはずっと藪島組にスパイとして入り込んでたんやで』
「…え…?」
さっちゃんは驚いていたけど、私からすれば「やっぱり」としか思えなかった。
予想が当たっていただけ。
疑問が確信になっただけ。
『ほんま、舐めた真似してくれたなァ。ワシを見つけ出して殺すつもりやったらしいわ』
「───…おまえ……は、」
『あぁ、教えてへんかったな。ワシやで?』
関西弁がこんなにも脳にこびりついて離れないなんて。
ニタニタ笑っている男と、笑顔すら忘れて言葉をただ待つ私たち。
『カノムツキくんを殺したんはワシや』
こんな配信で。
こんな小さな画面で。
殴られ続ける幼なじみを映されながら。
弟の命を奪った男からの告発がどんなに悲しくて虚しくて苦しくて、怒り狂いそうなものなのか。
それは私と蘭さんが感じるものより、きっと格がちがう。
『来る…、な……、さっさと…この街から出ていけ……さつ───ぐは…ッ!!』
『おいおい、まーだ喋れたんかワレ。しぶといやっちゃなァ』
何日監禁されていたの。
その間ずっとそうやって暴行を受け続けて、さっちゃんを守っていたんだ。