路地裏Blue Night.




「さっちゃん…、」



ありえない光景と彼のトラウマのようなものが同時に降りかかってきてる。


そうだよね、びっくりどころじゃない。

だってさっちゃんは五十嵐に嫌われてるとずっと思ってたんだから。


S.Roberを潰されそうになって、いつも挑発されて。

だけどそれはすべて五十嵐が“睦月の兄ちゃん”として生きるため、そしてさっちゃんを危ない目にこれ以上遭わせないためのフェイク。


そんな事実があったなんて。



「鹿野さん…っ!ボクのスマホにこんな写真が送られてきて…!!」


「オレもっす…っ!!」



駆けつけてきた颯と秀平が手にするスマートフォンには、顔面を容赦なく殴られて意識のない五十嵐 侑李がいた。

私の方のスマホにも同じように送られていて。


片目が塞がってしまってる…。

綺麗な顔立ちの原型が消えてしまうくらいの有り様だった。



「相手は藪島組だ」


「っ!藪島組…って、」


「あぁ、俺たちも近づかないようにしていたヤクザだ」



蘭さんの説明に揃って息を飲んだふたり。

颯も秀平も、いつも任務にはノリノリで先陣を切るタイプだったのに。



< 249 / 282 >

この作品をシェア

pagetop