路地裏Blue Night.




「助けに行こう」とは、誰ひとり言わなかった。

それくらい、それくらい関わってはいけない組織だということ。



「…皐月、」


「どうしたらいいかな…蘭くん」



さっちゃんですら、虚ろな目をしていた。


いつもさっちゃんの命令があってから動くS.Roberだから。

さっちゃんが「行くよ」って言わないと駄目なのに。



「僕の判断は正しくない。ここで助けに行くのが睦月だった。けど…あいつはそれで死んだ」


「じゃあ、侑李を放っておくのか?」


「っ…、」



ねぇさっちゃん、どうして出動準備をしないの。

なんで立ち尽くしたままなの。

颯も秀平だってそうだよ。
リーダーには強く言えないってこと…?


蘭さんだって、ぶっちゃけあなたが一番タチが悪い。

だってさっちゃんより年上で、α9のときからの仲間なのに何もしないんだもん。



「僕は…怖い。ここでまた判断を間違えて誰かを失うのが……怖いんだ」



だからって立ち止まってるつもり…?
それで誰が喜ぶの…?

待ってるよ、五十嵐 侑李は絶対に待ってる。



「…でも、僕ひとりならそれが出来る」



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