路地裏Blue Night.
ほらこれだ。
分かってた、ほんとみんな中二病なんだから困っちゃうって。
ひとりで行くつもりなんでしょ。
さっきめちゃくちゃ穏やかな顔してたもんね。
「鹿野さんっ、そんなのダメだよ…!!」
「なら颯も行く?僕は1度それで同行者を死なせてるけどね」
「っ、」
なんという脅しだ。
みんな怯えてる、でもさっちゃんが一番怯えてる。
それなのに1人で行くってなに…?
あなたわりと寂しがりで怖がりなの、知ってるんだから私。
だからいつもくっついて寝てくるくせに。
「みんなは今日はここから1歩も出ないように」
よく言うよ…。
そんなに泣きそうな顔してよく言えたよ、こいつ。
「ミオ、…最後に抱きしめさせて」
くいっと引き寄せられた。
こんなに震えてるんだもん。
さっちゃん、マンション出た瞬間に足から崩れちゃうんじゃないの…?
「奴らは睦月の事件を隠すために僕と侑李を殺すつもりだ。…だから僕は侑李さえ救えればそれでいい」
よくない。
そんなのぜんぜん良くないよ。
自分の命と引き換えに仲間を助けるような、そんな格好いい存在は睦月だけで十分だ。
「皐月…、」
「あとは頼んだよ、蘭くん」