路地裏Blue Night.
だって睦月はさっちゃんより五十嵐に懐いてたらしいから。
睦月にとって、頼れる大好きな兄ちゃんだったはずだから。
「情けない顔してんなよお前ら…!!みんなして死んだ目…!!なにそれ笑っちゃうねあっはっはっ!!
───…生きてんじゃん…、ここにいる全員は……生きてんだろーが……っ!!!」
それはもう、魂の叫びだった。
睦月だけだよ。
今ここにいない睦月だけが五十嵐 侑李を助けようとしてる。
生きてる私たちがしゃがみこんで、天国から見守ってるヒーローに助けられるってどういうこと。
「動けるじゃん…!!手だって足だってみんな動くし…っ、こんなに、5人も仲間がいるじゃん……!!」
そんなダサい真似しないで。
5人でも、小さい組織でも、それでも必ず受け持った依頼は成功させる。
盗ったものは何がなんでも最後まで守り通す、狙ったなら一生。
それがS.Roberだ。
どうすればいい、もう少し、もう少しだ。
過去を未来に変えれるチャンスは目の前にある。
「依頼…、そうだ依頼…っ!!S.Roberナンバー5、たったいま緊急依頼を引き受けてきました……!!」
「…依頼…?」
そう、依頼だ。
今までどんな依頼だとしても断ったことなんてなかった。
そんな窃盗団─お助けマン─が私たちだ。
「澪、…依頼内容は?」
まず立ち上がったのは蘭さんだった。
“水島ホールディング”という有名ベンチャー企業の息子さんだということは、少し前にさっちゃんから教えられていた。