路地裏Blue Night.
「でも…なんで男装なんかしてるの?」
「そ、それは───…」
とりあえずここはもう簡潔に、今までのことをサラッと説明。
かーちゃん蒸発、とーちゃん逮捕。
「───それは色々大変だったみたいだね」
「…でも、やっぱ駄目だよね、…女だから」
「んー、確かに異例のパターンではあるけど。仕方ない、これは僕も悪いんだし」
「え、じゃあ、」
揺れる瞳で見上げてみる。
ニコッと肯定をうながす笑顔と、優しい言葉。
「だって僕はミオを性別で選んだわけじゃないから」
あ、そうだ。
足の速さを買ってくれたんだっけ…。
ってことは、やっぱり最初から窃盗団として使う気だったってことだ。
「でも私、犯罪に手を染めるのはさすがに…」
「確かに僕たちは追って追われる身だけど、犯罪を犯してるわけじゃない」
「…え、」
「僕たち“は”、ちがうよ」
1度盗ったならば何がなんでも最後まで奪われないように。
それが彼等、S.Roberの心得のようなものらしい。
「だから約束は守る。でもそうだな、男装は続行でいこう。その方がミオも動きやすいだろうから」
「…ってことは、ここに…住まわせてくれるの…?」
「もちろん」