路地裏Blue Night.




勢いよく顔を上げれば、すでに部下へと命令を下して準備をしている若頭さん。



『あああありがとうございます…!!!』


『えええっ!?ほんとなの!?すごいよクマ!!』



説得完了だ。

というより、彼からも依頼を受け持った形となって。


すると男の視線はさっちゃんへと。



『リーダーはお前か。報酬は藪島の連中を片付けることでチャラにしろ』


『…引き受けました』


『だが、間違ってお前らの仲間を殺すかもしれねえぞ俺が』


『はい。それまでには逃げますので問題ありません』



───と、いうことがありまして。

その若頭さんは義理と人情に厚い人っぽくて、話の通じる男だった。



「まぁ、そんな感じ。今日の主役は色んな意味でミオだよ」


「えへへっ」



ぽんぽんと、さっちゃんに頭を撫でられる。


ふて腐れたような顔をした五十嵐 侑李は、私たちからの視線をスッと逸らした。

けれどさっちゃんは彼に近づいて手を伸ばす。



「侑李、α9はもう終わりにしよう」


「…終わらねーよ。そんなことしたら…睦月も終わるってことだろ」


「ううん、睦月はここに居るよ」



……私を見つめられましても。

睦月じゃないよ…?
似てるかもしれないけど別人だよ…?


コテンと首を傾げた私を見て、ふっと同じタイミングで笑われたような気がする。



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