路地裏Blue Night.
「明日一緒に僕と買い物いこう」
それならと。
私は新しい提案を1つ。
「だったらその時さっちゃんが出してくれればいいよ!」
これでも借金家族でしたから、やっぱりお金が空から降ってくるなんて夢のまた夢。
こうして差し出されたお金の先に落とし穴でもあるんじゃないかと思ってしまうわけですよ…私は。
信用していないわけじゃないけど、人の温かさには慣れていない。
周りの親切とか、そんなの程遠いくらいの現実ばかりを見てきた。
「ふっ、わかった」
それは頬杖をつくような眼差しで。
ふうん?と、なにかを試すように私を見つめて、ぽんぽんと頭を叩いた。
「高校、だめになっちゃったんだっけ?」
「…うん」
お風呂に入って、コンビニで買った夕食を食べて。
擦りむいた膝には消毒液からのガーゼ。
一通り済ませてソファーでこっくりこっくり船を漕いでいた私に、湯上がりの彼は静かに聞いてきた。
「行きたい?」
「…そりゃあ、せっかく陸上の推薦で入れたし……高校デビューしたかったなぁ」
「高校デビュー…か」