路地裏Blue Night.




でも今日わかった。

高校に行けない子も、行かない選択をした子もたくさんいるんだって。


この観羅伎町という街を見て、私はそれまで恵まれていたんだと思い知った。


通りすぎる人へ必死に声をかけるメイド服姿の若い子、派手な衣装に身を包んで身分の高そうなおじさんに愛想笑いをするお姉さん。

いっぱいいっぱい、我慢して生きてる子がいるんだって。



「私もさっちゃんに拾われなかったら風俗こんにちはしてたから…」


「…どこのヤクザか分かる?」


「え…?」


「ミオを追ってた奴ら」



ぶわっと、空気が変わった。

真面目な顔をして私の隣に座ったライトブラウンから慣れないシャンプーの香りが広がって。



「んー…よくわかんない」



顔もそこまで覚えてないし、怖くて見れなかったし、目を合わせたら終わりだと思ってたから。

数人いたけど、どれも柄の悪い大人ばかりで。


みんなまだ下っぱだろうけれど思い出すだけで恐怖オブ恐怖だ。



「じゃあ、標準語だった?それとも関西弁?」


「あ、関西弁!」



その情報だけで察しがついたらしい。



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