路地裏Blue Night.
こういう仕事は警察に任せると弁護士だったりが関わってきて面倒だからと、
こうして窃盗のプロ集団であるS.Roberへ密かに個人的に頼んできたというわけだった。
「───あ、……月、」
まっすぐ先、青い月が見えた。
この人と出会ったときも見えた、青くてキラキラしたマル。
「だからそれはライトだってば」
「…あ、そっか」
この街は月なんか見えないから。
雲に隠れるより前に、街の光と高いビルにのみこまれてしまう。
「月、見たいの?」
「うん。最近ずっと見てないなぁって」
「…しょうがない。少しみんなを待たせちゃうけど」
「え、うわ…っ!?はやっ!!」
ぐわんっと、身体が揺れた。
それは小走りじゃなくなったのと、大きく右に曲がったからだ。
どこに行くんだろう。
風を切ったことでフードが取れて、サラサラ揺れるライトブラウンの髪が頬にふれてはくすぐったい。
「───ほら。」
「わぁ月っ!!え、やっぱり月あるじゃんっ!!」
「…ほんとは独り占めしたかったんだけどね」
そこはとあるビルの屋上。
裏から入って階段を上がって行ったと思えば、白夜に燃える月が目の前。