路地裏Blue Night.




なんて競い合いをまぁまぁと宥められて、私たちはカラオケへ。



「………え、うますぎない…?」


「そう?僕も久しぶりだからちょっと緊張してる」


「緊張してそれなの!?レベル…高すぎ…」



今って声も大事って聞いたことあるし、ぶっちゃけ顔が微妙でも声でカバーできる時代だとも。

だとしてもこの鹿野 皐月はなんだ…?

確かに初めて聞いたときも、甘いマスクに甘い声してんなぁ…とは思ったよ?


天は二物を……与えるらしい。



「じゃあ次ブスの番っ!」


「佐久間 澪だよっ!!」



キィィィンとマイクが鳴って。


耳を塞ぎながら文句を言ってくる颯、秀平といえばさっちゃんの歌声に感動して失恋を思い出したのか涙。

そんな私たちを優しく見つめているさっちゃん。


……なんか、楽しいかも。

こんなにはしゃいだのって久しぶりだ。



「……なにこれひどすぎ!!下手にも程ってもんがあるからっ!!」


「うるさいなっ!これでも全力なの!!」


「マイク持つ資格ないよこんなの!!ブスは歌声までブスってことじゃんっ」


「……もう2度と歌ってやるかっ!!」



拝見、蒸発したお母さん、逮捕されたお父さん。

私はいま、新しいお友達と心からの笑顔で笑ってますのでご心配なさらずっ!!



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