路地裏Blue Night.
「あれ?鹿野さんはいないの?」
「うん。いまさっき用事があるっぽくて出ていったとこ」
「なぁ~んだ。せっかく新しいゲーム一緒にやろうと思ってたのに」
颯はどうやらさっちゃんに借りていたゲームソフトを返しに来たついで、一緒に遊ぶつもりだったらしい。
それだけ済ませたならどうぞお帰りくださ~い、なんて笑顔で送ろうとしたところで思い出した私。
こいつなら知ってたりする……かも?
「ねぇ颯、」
「きやすく呼ばないで」
「……」
どーしたらいいってんだよ、もう。
ちなみにだけど、私はあなたになんて呼ばれてるか知ってる?ねぇ知ってる?
知らないなら教えてあげようか?
ブス、だよ?
「…なに?」
言葉に渋っていると、興味なさそうにしながらも返事をしてくれた。
結局してくれるなら最初からそう言えばいいのに…。
けど、もうこれ以上は何も言わない方がよさそう。
せっかく返事をしてくれたんだから。
「あ、いや、さっちゃんって何歳なんだろうって。颯知ってる?」
「あれ、聞いてなかったの?」
「うん。なんやかんやで聞いてなくて」