路地裏Blue Night.
「だから気安く呼ばないでってば!」と、続くようにマンションを出て行ってしまった。
ぽつん、しーーん。
リビングには女物の少し鼻につくような香水の匂いが微かに残っていた。
「───ターゲット発見。ミオ、いける?」
「う、うん」
「大丈夫、バレたらすぐ僕も出るから」
その夜の任務は浮気しているだろう男へ小型盗聴器を仕掛けるというものだった。
依頼人はもちろん、その人の奥様。
そんな探偵さんみたいなことも快く引き受けてしまうS.Roberは、さっちゃんが言っていたとおりお助けマンだとも思う。
「今日こそは足引っ張らないでよ!」
「なにかあったらオレたちもサポートするんで!!」
「い、いってきまーす…」
そんな任務を任されたのは、他でもなく女の子の格好をした私。
地味で質素で、観光にきた田舎者で通用する見た目をしているからと。
わざとぶつかって目の前で転んでからの、盗聴器をさりげなく仕込むという作戦。
「あっ、わっ、ご、ごめんなさいっ!!」
「おっと、大丈夫かい…?」