路地裏Blue Night.
ぽんぽんと頭を撫でられるだけで、そうやって優しく笑いかけてくれるだけで。
さっきの気持ち悪さはいつの間にか空の上なんだからびっくりだ。
「変なところ触られたりは?」
「…してない」
「そっか、よかった」
確かに怖かったけど、咄嗟に逃げちゃったけど。
でもいざとなったら必ず守ってくれるって確信と信頼があったから。
「あれ…?颯と秀平は…?」
「残りの尾行に回ってもらった」
今日は蘭さんは諸事情というか、たぶんお仕事の方で欠席。
だから4人での任務だった。
「歩ける?おんぶは?」
「歩けるっ!」
「ミオ、そっち行き止まり」
くいっと手が引かれた。
迷子の子猫ちゃんを連れかえる気持ちでも味わってるのかな…。
家でもそうだけど、外ではもっと男装が当たり前だから周りから変なふうに見られちゃうよ。
これって、シンプルになんで……?
あのう、だって婚約者に見られたらさすがに今日は女の子だからヤバいんじゃないの。
「さっちゃん、」
「んー?」
「今日ね、めちゃくちゃ美人なひと来たよ」