路地裏Blue Night.
それからは父と2人、それはもう質素に暮らす日々だった。
少しのお金も無駄にしないように、1円でも余りが出たら返済に当てて。
そんなある日、警察から私に届いた1本の電話。
『あなたのお父さんが、知人を脅してお金を奪い取ろうとして……いまさっき逮捕されました』
なんか聞いたことがある。
いまの若者は“親ガチャ”という言葉をよく使っていて。
親に恵まれなかった、毒親だった、それはイコール親ガチャというものに失敗したということ。
でも私はこの時はまだ、そこまでは思ってなくて。
だってお父さんも大変だったし…なんて、娘として庇護してしまうくらいに。
「おい佐久間ァ、返済日すぎてんねん!!開けろゴラァ!!」
親ガチャ、失敗したったぽい。
闇金、まさか父親がそんなところにまで手を出していたなんて。
もちろんヤバい奴等が脅しに来る毎日。
最初は無視してなんとか堪えて、私の引き取り先はどこになるかと親戚同士で密かに話し合っていたのだけど。
なんか……どこにも引き取ってもらえないらしく。