路地裏Blue Night.
「ねぇ颯、」
本人さんはピコピコ携帯ゲーム機に夢中。
それでしょ、またさっちゃんに借りたってソフトは。
「あのさ、侑李って人……フルネームは五十嵐 侑李(いがらし ゆうり)…?」
「そーだよ」
やっぱりそうだったんだ…。
入学式の日、生徒たちが鹿野派と五十嵐派に分かれるだのなんちゃら話してたから。
もしかして…って思ってたけど。
まぁダンゼン私は鹿野派に決まってるっ!!
「あの2人って、どーいう関係なの…?」
弟さんのことも知ってるみたいだったし。
あのとき、睦月(むつき)って名前が出た。
それから死っていう単語も。
きっとそれは……弟さんの名前なんだろうなって。
「それはボクもよく知らない」
「え、そうなの?」
「ボクはS.Roberからの新参者だから。それを知ってるのは……蘭さんだけだよ」
ゲームがピッと切られた。
フルーツサンドをかぶりついた唇の端に、あざとく生クリームが付着。
それをペロッと舐める仕草は確かにかわいいけど、やっぱり男の子。
「ただボクが持ってる情報は、…鹿野さんはα9の立ち上げメンバーだったってことくらい」
「…え、」