義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
優秀な弁護士であり御曹司でもある。十歳も年上だし、私には分不相応な相手だと重々わかっている。
それでも、手を伸ばさずにはいられない。本気で好きになってしまったから。
「聖さんと一緒に働いてみたかったな……」
なんとか一段落ついたタイミングで、勉強とはなんら関係のないことをぽつりと呟いた。彼は私に目を向け、〝先生〟の表情を崩していたずらっぽく口角を上げる。
「法律の世界にはまったく興味ないくせに」
「そう、だから残念なの」
もし私も弁護士の仕事に魅力を感じていたら、きっと聖さんのお手伝いをするべくパラリーガルでも目指していただろう。生憎そちらの道には進めそうになく、私は栄養士を目指している。
しかし、聖さんとまったく関わりがないわけではない。私が就職先に選んだのは、水簾法律事務所にもお弁当を届けている会社だから。
社食やお弁当を提供するハースキッチンは、本社で栄養士がメニューを考え、併設している工場で料理を作っている。ここで働けば、間接的に聖さんの健康を守るお手伝いができる!と思ったのがきっかけだ。
……推しに貢ぐオタクの発想と似ているな。