義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
仕事を通して親交を深めた父ふたりは気を遣わない間柄のようで、笑いが交じる和やかな雰囲気で会食が始まった。
美しい器に盛られた料理をいただき、酒も嗜みながら頭取が俺に話を振る。
「聖くんは弁護士の御村をよく知っているだろう。彼は私の兄なんだよ」
馴染み深い名前が口にされると共に驚きの繋がりが明かされ、思わず箸が止まった。
御村先生は、俺が司法修習生のときに下について指南してもらった人物だ。
現在六十歳の彼はとても優秀で人当たりもよく、多くのことを教えてもらったし信頼も厚い。一緒に働いたのはたった一年間だが、なによりも濃い時間だったと思う。
まさか彼が、碓氷さん一家と血縁関係だったとは。
「御村先生には司法修習生時代にお世話になりました。霧子さんの伯父ということですか? 初めて知りました」
碓氷さんに目を向けると、彼女はやや気まずそうに苦笑する。
「実は、私が水篠先生の事務所に転職したのは、伯父から『水篠くんはとても優秀だから敏腕な弁護士になるだろう』と聞いていたのがきっかけなんです。そんな先生がパラリーガルを募集していたので飛びついてしまいました」