義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
「お父様方」
冷ややかな声を発する彼女から厳しい雰囲気を察知した父たちは、背筋を伸ばして「はい」となぜか敬語で返事をする。
「今後一切、こういうお膳立てはやめてください。私も先生も、勝手に結婚を決められるようなことは望んでいません」
きっぱりと言い放つ彼女に、父たちは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。先に女性に言わせてしまって、不甲斐なく感じたのもつかの間……。
「私は、自分の力で先生を振り向かせたいんです」
……え?
予想外のひと言が聞こえ、俺は目をしばたたかせた。
自分の力で振り向かせたいって……俺に対する好意はそれほどのものだったのか? 縁談を断ろうとしていたのもそういう理由から? 結婚をしたくないわけではなく、父たちの力を借りたくなかったと。
唖然とする俺に、碓氷さんは一直線に視線を向けてくる。
「水篠先生、私はあなたをひとりの男性としてお慕いしています。愛しているんです」
熱い告白をされ、俺は言葉を失くした。父ふたりも呆気に取られつつ、俺の反応を窺っている。なんだ、この圧縮されたように息苦しい雰囲気は。