義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
まさかの展開に頭を抱えたくなるも、動揺を落ち着かせるためにひとつ息を吐いた。俺がやるべきなのは本心を伝えるだけだと意識を切り替え、まずは父たちに向かって口を開く。
「申し訳ありませんが、私も縁談に関しては霧子さんと同じ気持ちです。今日お会いさせていただいたのは、直接拒否の意向をお伝えするためです」
空気が強張るのを感じつつも、「そして」と続ける。
「私には心に決めた女性がいます。結婚も、その人以外とは考えられません」
三人に納得してもらうべく毅然と告げた。父は俺の恋がここまで本気だとは思わなかったのか、それとも碓氷親子に悪いと恐縮したのか、困惑気味に「ひ、聖……」と呟いた。
先ほどから表情も変えず耳を傾けている碓氷さんに目を向け、改めて言う。
「霧子さん、俺に好意を持ってくれたことは嬉しいです。ありがとう。でも、俺はあなたの気持ちには応えられません」
心苦しく思いながらもはっきり断り、「すみません」と頭を下げた。
頭取が黙っていないかもしれないと懸念したが、娘にかける言葉が見つからないらしく唇を結んでいる。