義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 そんな私をまじまじと見ていた母は、なにかに気づいたようにはっとする。


「ねえ六花、もしかして聖くんのこと……」


 半信半疑な調子で彼女の口からこぼれた言葉にギョッとして、手に取ったお椀の中でお味噌汁が大きく波打った。

 しまった、つい本音を……!


「え!? ちっ、違うよ! なに言ってんの、お母さん」
「なにも言ってないけど」


 こちらを凝視したまま淡々と返され、ひとりあたふたしていた私は一気に顔が熱くなった。

 やばいやばい、墓穴を掘っている気しかしない。私たちが家族になれたことを喜んでいるお母さんに気づかれたら、困らせるに決まっている。ここはもう逃げるが勝ちだ。

 食欲がなかった胃に残りのご飯を流し込み、「ごちそうさま!」と言って勢いよく腰を上げる。そそくさと食器を片づけ、母が私の名前を呼ぶ声も無視して自室に逃げ込んだ。

 しかし、聖さんたちがどうなったのかは当然気になる。

 お風呂を上がって部屋に戻る直前、ちょうど下から「ただいま」という雅臣さんの声が聞こえてきた。吹き抜けになっているので、二階のここからでもリビングの様子が窺える。
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