義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
口の中に甘酸っぱさとバターの香りが広がって、自然に頬が緩んだ。
「ん~美味しい! アキちゃんも食べる?」
私もパフェを差し出したものの、彼は急に表情を強張らせて私の後方をじっと見ている。つられて振り向くも、テーブル席でお客さんが談笑しているだけで特になにも変わったことはない。
首をかしげて「アキちゃん?」と呼ぶと、彼ははっとしてまた笑顔になる。
「ああ、うん! 食べる食べる。苺って可愛いし美味しいし最強だよね」
女子っぽい発言に笑いがこぼれる。一瞬どうかしたのかと気になったが、それからはいたって普通だったので、引っかかりはすぐに消えていった。
ところが、カフェを出て、服屋で再びショッピングを始めた頃。
「これとこれだったら、どっちがいいかなぁ。アキちゃんは……」
スカートをふたつ手にして彼のほうを振り返ると、先ほどと同じような顔でどこかをじっと見ている。話しかけても上の空だったのでさすがに気になり、ポールにスカートを戻して問いかける。
「ねえ、さっきからなんか変だよ。どうしたの?」
「ごめんごめん、なんでもないから」
「嘘だ。気になるから教えて」
アキちゃんはしばし悩んでいたが、私の圧に負けたようで「あそこに座ろうか」と店の外のベンチを指差した。