義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
もし本当にそこまで考えていたのだとすれば、聖さんってすごく頭の切れる人だ。そして情に厚い部分と、相反する冷徹さも持ち合わせている人。
まだ私も知らない彼がいたんだなと複雑な気持ちになっていると、瀧さんは諭すように私の目を見て言う。
「弁護士の水篠聖はこういうやつだよ。普段は紳士的で温厚だけど、依頼者を守るためなら非情になって相手を追い詰める。六花ちゃんには見せたくなかった一面かもしれないね」
いたずらっぽく口角を上げる彼に、私も曖昧に微笑み返した。
生憎、想いは加速するばかり。これで気持ちが冷めたらいいのにとすら思うが、どんな聖さんを知ったって変わらない。こんなに心を揺るがす人、ほかにはいない。
私はやっぱり、彼しか愛せないのだ。
しばらくして、聖さんたちが相談室から出てきた。警察を見送ったあと、瀧さんが聖さんにストレートに言う。
「なあ聖、お前パンチ避けなかったのわざとだろ」
聖さんは一度ピクリと反応を示し、真意を読み取ることができない表情で返す。
「押さえようとしたときにたまたま当たっただけだよ。相手方にさらに罪を増やすようなことをするはずないだろ」
「本当かなぁ。弁護士先生は怖いねぇ」
「自分を棚に上げるな」