義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
まだ疑っているらしい瀧さんにツッコむ聖さんだけれど、わざと当たったのかそうでないのか私には判別できない。これは永遠にグレーかも。
「それに、今は弁護士としての仕事をしたわけじゃない。今日昌さんは無料相談をしに来ただけで一円も支払ってもらっていないし、クライアントではないんだから」
続けられた聖さんの発言に、アキちゃんがはっとする。結果的に彼が無償で助けてくれることになったと気づいたのだろう。
「ということで、費用やお礼などは気にしないでください」
「ここまでしていただいたのに、そういうわけにはいきませんよ!」
あっさりと言い切る彼に、アキちゃんが食い下がる。そのとき、聖さんが頼もしい眼差しを私にすっと向け、視線が交わってドキリとした。
「あなたになにかあると六花が悲しむので。私はただ、彼女の大切なご友人をお守りしたかっただけです」
アキちゃんを助けることの延長線上に私が関係しているとは思わず、呆気に取られた。アキちゃんも同じく目を見張る。
私たちがなにも言えなくなっている間に、聖さんはさっさと帰り支度を済ませる。碓氷さんに仕事の用件を告げ、瀧さんに「あとはよろしく」と頼んで私たちに車に乗るよう促した。