義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
「いいじゃん! しなよ、再婚」
間を置かずにそう返した私に、母は意外そうに目を丸くした。
ずっと昔から、母はひとりで私を育ててくれた。もしもいい人が現れたら、私のことは気にせずもう一度女としての人生を歩んでほしいと願っていたのだ、反対する気はない。
「ふたりの生活も楽しいけど、当然大変だったでしょう。私はもう成人になるんだし、これからは自分のために生きてね」
「六花……」
「私も嬉しいよ。お母さんにも幸せになってほしいって、ずっと思ってたから」
笑って賛成すると、母の瞳にみるみる涙が溜まっていく。
「ありがとう、六花……。なんでこんないい子になったのかしら」
「お母さんの子だからだよ」
「また泣かせる~」
素早くティッシュを取って目に押し当てる母に、私は和やかに笑った。
母が泣くのは私が高校に合格したとき以来だろうか。彼女の涙はいつも私に関係しているんだよなと思うと、こちらも胸がじんとする。
「ありがとう」と何度も言い、気持ちを落ち着けた母は目を赤くしたまま微笑む。