義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
「りっちゃん。これ、わざわざありがとね」
これは友チョコか、本命かと聞かれたのを思い出した。今ならはっきり答えられる。私の気持ちはどう足掻いても変わらないんだと痛感したから。
アキちゃんを意識できるかどうかより、私自身が想いを捨てられるかということのほうが問題だったのだ。
私は彼をまっすぐ見つめ、口を開く。
「アキちゃん、それ……友チョコとして受け取ってほしいな」
彼は特別驚いた様子もなく、澄んだ瞳で私をじっと見つめ返している。
「私、やっぱりアキちゃんとは友達でいたい。性別は関係なく、これまでみたいにずっと仲よくしていたい。……してくれる?」
罪悪感を抱きながらも、正直な想いを伝えた。アキちゃんはこう言われるのをわかっていたかのごとく、とても穏やかな表情だ。
納得したように頷いた彼は、「もちろん」と綺麗な笑みを浮かべる。
「友達でいたいと思ってくれてありがとう。それだけで十分。大事に食べるよ、友チョコ」
アキちゃんはすっきりとした調子で、私の気持ちを受け止めてくれた。
申し訳なさと安堵が入り交じり、私も眉を下げて微笑み返す。「またね」と言い合い、車から降りた彼に手を振った。