義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
甘すぎる一夜は合意の上です
両想いだとわかって舞い上がってしまっていた私は、あとになって大事なことを思い出した。聖さんと碓氷さんの関係についてだ。
まず、例の食事会では結婚の話が進んだのではないのかと尋ねてみた。聖さんいわく、食事会はふたりのお父様方にきっぱり断るために設けた席だったのだそう。
『でも、ふたりは男女の関係だったんだよね?』
胸がチクチクするのを感じながらそれも確認すると、彼は〝まったく身に覚えがない〟と言いたげにキョトンとした。
『違うよ。なんで?』
『だって聖さん……ひ、避妊、してたんでしょう? 雅臣さんが言ってたじゃない』
こんなこと聞きたくないのにと思いつつ、口を尖らせてためらいがちに問いかけた。すると彼はぷっと噴き出し、おかしそうに肩を震わせて笑い出すではないか。
『まさか六花も勘違いしていたとは……。あれは〝避妊〟じゃなくて〝否認〟。父さんは勝手に盛り上がっていたけど、俺は碓氷さんとの仲を認めていないっていう意味だよ』
笑いを堪えつつ説明され、頭を抱えて『そっちー⁉』と叫んだのは言うまでもない。とんだ早とちりだった。