義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 聖さんの意思を汲み取ったように、両親は納得した様子で頷く。


「交際するのはなんら問題ないが、ふたりは家族でもある。それらしく振舞ってもらうときもあるだろうから承知しておいてほしい」


 雅臣さんの言葉に聖さんは軽く頷き、私も「はい」と応えた。


「と、いうことで。もう少し家族四人での同居は続けてくれよ」
「二カ月だけじゃ味気ないものねぇ」


 砕けた空気に変えてにっこりと微笑む両親に、聖さんだけはややげんなりした表情を浮かべる。

 どうやら恋人らしい生活ができるのは、まだ先になりそうだ。


 その日の晩、洗面所で歯を磨いていると、ちょうど聖さんもやってきた。一緒に歯磨きをしたあと、鏡に映る自分たちを見て彼がため息交じりにぼやく。


「さっそくあのレジデンスで六花とふたりで暮らそうと目論んでいたのに、まだしばらくおあずけか」


 同居を続けてくれと頼まれたとき、ちょっと嫌そうな顔をしていたのはやっぱりそのせいだったのね。

 聖さんが私とのふたり暮らしを考えていたのかと思うと胸がときめく。口元は緩みっぱなしで、「認めてもらえただけで、今は嬉しいよ」と返した。
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