義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 ──三月中旬、無事短大を卒業した私は、仕事が始まる前の休みの間に約束通り聖さんと一泊二日の旅を決行した。

 彼の運転でやってきたのは憧れの横浜。彼氏ができたら横浜デートをするんだ!というのが、山に囲まれた土地で育った田舎者の私のささやかな夢だったのだ。

 天気もよく春らしい暖かさで、山下公園をのんびり散策するのもとても気持ちがよかった。おやつの時間になりそうな今は、赤レンガ倉庫を観光中。

 歴史を感じるレトロな建物の中を、聖さんと手を繋いでワクワクしながら歩いている。


「やっぱり横浜って素敵な街だな〜。中華街で食べ歩きもしたいし、夜は観覧車にも乗りたいし……。とりあえず今は馬車道アイスを食べる」
「いいよ。六花がやりたいこと全部やろう」


 ここでしか食べられないというアイスの看板を発見して指差すと、聖さんはクスクスと笑ってアイス屋さんへ足を向けた。

 それぞれ好きな味を頼み、近くの椅子に座ってそれをシェアしながら食べるだけで、デートしてる!という感じで幸せだ。

 さすがに横浜では私たちの知り合いとは会わないだろう。思う存分彼をひとり占めできるなんて最高。
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