義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 アイスを食べたあと、聖さんがふたり分の空のカップを持って腰を上げる。ゴミ箱のほうへ歩き出したとき、斜め前方で女子ふたりが彼を見て盛り上がっていることに気づいた。


「ねえ、あの人めちゃくちゃカッコよくない!?」
「ほんとだ〜芸能人みたい」


 話し声が聞こえてくるたび、そうでしょうそうでしょうと同意して頷きそうになる。カーディガンにテーパードパンツを合わせた今日のスタイルも、落ち着いた色味でカジュアルすぎなくて完璧だもんね。

 ところが、彼が私の隣に戻ってきた途端、声のトーンが変わった。


「どういう関係だろ」
「兄妹とか? なんか恋人っぽくないよね」


 当たってるけど当たってない! 耳には聖さんからもらったピアスをつけ、コーデも大人っぽいニットワンピースにしてみたけど、彼女には見えないのか。最初から恋人だと疑われないのはちょっとヘコむ……。

 がくりとうなだれる私に、聖さんが「どうした?」と尋ねる。

 今日は貴重なデートの日、落ち込んでいたらもったいない。恋人に見えないなら、恋人らしくするまでだ。
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