義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
ぱっと顔を上げた私は、勇気を出して彼に腕を絡ませた。
聖さんは一瞬驚いた顔をしたものの、すぐに目を細めて私の頭を撫でる。それを見た女子たちは、「カップルだったか〜」と残念そうに声を上げていた。
赤レンガ倉庫をあとにしてみなとみらいに向かって歩きながら、私は絡めた腕を放して苦笑する。
「ごめんね、さっきから子供みたいにはしゃいで。聖さんには不釣り合いだなってわかってるんだけど」
兄妹だと見られただけでムキになってしまうのも子供っぽいし、腕まで組んだら聖さんも恥ずかしいかもしれない。そう反省するも、彼はなにも気にしていないように微笑む。
「好きな子が自分とのデートをこんなに喜んでくれるなんて、俺はすごく嬉しいよ」
「……そう?」
「ああ。それに、お互いへの気持ちが釣り合っていれば、なにも問題ないと思わない?」
今日の日差しのように温かな眼差しを向けられ、私の心の中もきらきらと輝きだす。
すぐに気持ちを前向きにさせてくれる彼がすごいのか、ただ私が単純なだけなのか。どちらにしても、相性がいいというのはこういうことなのかもしれない。
私も「そうだね」と自然な笑みを返し、どちらからともなく手を繋ぎ直した。