義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
「あ、あの、待って聖さん」
「もう十分待った。六花が大人になるまで我慢したのに、まだおあずけする気?」
私を見下ろす彼の瞳には獣のような光が宿っていて、今にも食べられてしまいそう。私は顔をかあっと火照らせ、草食動物になった気分で身体を縮こまらせる。
「だって……まだお風呂入ってないし」
「大丈夫だよ。むしろそのままのほうが、六花の匂いや味が楽しめ──」
「変態!」
思わず口にすると、聖さんの表情がすっと無になったので噴き出してしまった。
付き合ってから、彼はこういう〝男って……〟と呆れてしまうような一面も見せるようになったのだが、紳士的で完璧な姿以外も知れるのは嬉しいかも。
おかげで少し緊張が解けて、目線だけを上げる私の口から、素直で赤裸々な気持ちがこぼれる。
「最初くらいは一番綺麗な自分を、その……抱いてほしいなって」
言ったそばからものすごく恥ずかしくなり、彼の胸に顔を埋めた。頭の上から諦めたようなため息が聞こえてくる。
「ずるいな……。そんなふうに可愛く言われたら折れるしかなくなる」
「聖さんのせいだよ。恋することも教えてもらっちゃったから」