義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
まかないを綺麗に平らげて軽く手を合わせた小夏は、なにかを思い出すように視線を宙に向ける。
「成人式の日、四季咲に水篠さんが来て六花を奪っていったでしょ。実はあのあと、『あれは絶対彼も気があるよね』ってアキと話してたんだよ」
「そうだったの?」
「アキも『割り込む余地なさそうだな』って苦笑いしてた。で、自分も水篠さんに助けられて、敵わないって思ったんじゃないかな」
アキちゃんの心情を考えると胸がチクリと痛む。せっかく勇気を出してカミングアウトしてくれただろうに、応えられなくて申し訳ない。
目線を落とす私に、小夏は明るく言う。
「もうすぐゴールデンウイークだから帰ってくるだろうし、また三人で遊ぼうよ」
「だね。アキちゃん大好物のケーキバイキングにでも行こっか」
笑い合いながら楽しい計画を立てるも、私の心には薄いもやがかかっている。
メッセージのやり取りでは普通だとはいえ、実際に会ったらわだかまりを感じるかもしれない。アキちゃんとは、また前のような関係に戻りたいのだけど……。
わずかに巣食う不安を振り払うように、私はそれからも小夏とのガールズトークで気分を上げていった。