義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「別に流行りになんて乗らなくたっていいんだよ。アルファベットが書いてあるチョコが好きなりっちゃんと、どら焼きが好きなこなっちゃんでいいの」


 彼女は潤った唇の両端を上げ、さっぱりとした口調で言い切った。

 アキちゃんは流行りに敏感だが、人に合わせているわけではなく単純に新しいものが好きだから。

 自分をしっかり持っている彼女は、可愛くてカッコいい。私も小夏も、アキちゃんに憧れているのだ。

 ほどなくしてケーキも運ばれてきて、各々さっそくフォークを入れる。私は濃厚なチーズケーキを口へ運びながら、話が途切れたタイミングで先日の衝撃的な事実を打ち明ける。


「それがさ、私のお母さん再婚するんだって」


 ふたりは目をぱちくりさせ、「ほんとー⁉」と声を上げた。


「すごい~おめでたいじゃん」
「りっちゃんママ、美人だもんね。全然不思議じゃないよ」
「だねぇ。でも六花的に、新しいお父さんができるって複雑じゃないの?」


 小夏に問いかけられ、ほんの少し思いを巡らせてから答える。


「まあ心配がなにもないわけじゃないけど、お母さんが選んだ人だから。私のことも考えて決めたんだろうし、きっといい人だと思うよ」
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