義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
彼は終始ニヤニヤしながら、あっけらかんと言う。
「俺の独断でふたりにも教えちゃった。いずれわかることだし、別に隠しもしないだろ?」
「そうだけど、もう少し悪びれてほしいね」
「いやーこの間の騒動から皆、六花ちゃんとお前の関係が気になってしょうがなかったんだよ。仕事に支障をきたさないために正当な対処をしただけ」
「屁理屈言うな」
これだから弁護士は……と、自分を棚に上げて脱力した。
ひとしきり言い合ったあと藤宮さんが俺のそばにやってきて、手で口元を隠しながら顔を近づける。
「先生、私はふたりを応援しますよ!」
こそっと告げられたひと言は、きっと義兄妹での恋愛を応援するという意味なのだろう。彼女の純粋な厚意には自然に笑みがこぼれ、「どうも」と短く返した。
そんな中、碓氷さんだけは俺によそよそしく挨拶をしただけで、目も合わせようとはしなかった。
彼女がこの話題について振ってきたのは昼の休憩中。瀧と藤宮さんが執務室で話をしているとき、給湯スペースでティーパックに湯を注ぐ俺の隣に碓氷さんがやってきて切り出した。
「私も、ストーカーの一件があってからもしかして……とは思っていましたが、まさか本当に義妹さんと付き合うとは予想外でした」