義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
『連れ子同士の関係って違法ではないですよね。でも、ずっと家族だと思っていた身内で関係を持っていたなんて気持ち悪くて……。もう、夫を以前のようには愛せません』
今回は不貞行為という不道徳な問題なので、彼女のように思うのは致し方ない。しかし、血の繋がりがまったくないとはいえ、兄妹で関係を持っていることに嫌悪感を抱く人もいるだろう。
少々やりきれなさを感じるも、頭を切り替えて業務に戻った。
瀧は接見へ向かったため、執務室でひとり起案を行っていると、書類を持った碓氷さんがやってきた。
「水篠先生、この内容証明でお聞きしたいことがあるんですが」
差し出されたのは、山本さんの夫の不倫相手に送る書類。不明点の説明をし終わったとき、碓氷さんが抑揚のない声で言う。
「この依頼者さんの旦那様、義兄妹間で不貞行為をしていたんですね」
立っている彼女へと目線を上げると、「すみません、たまたま部屋の前を通りかかったときに聞こえてしまって」と気まずそうに瞼を伏せた。
おそらく俺と六花の関係を知っているから、思うことがあるのだろう。俺は苦笑を漏らし、とりあえず当たり障りなく返す。