義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
高校時代、家庭教師の日に時間が合うと聖さんがたまに車で迎えに来てくれることがあって、女子たちの中で『あのイケメンは誰!?』とちょっとした騒ぎになった。肩身が狭かったな、あのときは……。
私とよく行動を共にしていた小夏とアキちゃんは、たびたび聖さんと出くわしているので顔は知っているし、私の長年の片想いも、二十歳になったら告白しようと決めたことも知っているのだ。
アキちゃんもお気に入りのモンブランを堪能しながら頷いている。
「水篠さんは確かに尊い。その後どうなったの?」
「特に進展なし」
正直に答えて温かいカフェラテに口をつけると、アキちゃんは神妙な顔になって私をまじまじと見つめる。
「本当になにも手出されないんだ? こんなに可愛いりっちゃんがそばにいながら自制できるなんて、その男タダモノじゃないよ」
「六花が告白した途端、がおーっと襲われちゃうんじゃないの」
「いやん、ケダモノ~」
爪を立てる獣のマネをする小夏に、アキちゃんはニンマリして口元に手を当てた。私はみるみる頬が熱くなっていく。
もう、ふたりして好き勝手言って。あの聖さんが突然オオカミになるとは思えないし、むしろ標準体型で色気もない私に欲情するのか?って疑問なのに。そもそも、フラれる可能性のほうが高いって。