義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 俺は、御村先生に対してある疑念を抱いている。人望があり、俺も信頼している彼を訝しく思い始めたのは、今から二年ほど前。菅屋さん本人と話したときだ。

 実はこの頃、雪乃さん宛てに菅屋さんからの手紙が届き、その内容が〝六花に会わせてほしい〟というもので悩んでいると相談されていた。

 そこで、彼女の代わりに俺が会って話をすることにしたのだ。弁護士としてではなく、昔交流があった者のよしみで。

 懲役二年六カ月、執行猶予四年の刑を終えた彼は、今は群馬にある工場の作業員として真面目に働いている。六花が解離性健忘症になってしまったのですぐには難しいが、雪乃さんとも話し合いができるよう働きかけてみると約束した。

 菅屋さんは離婚されるのも当然だと納得していて、自らが犯した過ちも十分反省している。六花が記憶を失くしていると知ると、本当にかわいそうなことをしてしまったと自分を責めていた。

 久々に会って話したが以前と変わらずいい人で、なぜ罪を犯してしまったのかとやはり疑問に思う。そこで例の事件について詳しく尋ねてみると、彼の口から思いもよらない真実が語られたのだ。
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