義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
今日はそれも合わせて御村先生に話したいことがあり、アポを取りつけた。昼間は弁護士会が主催するセミナーに参加し、その後のパーティーも早めに抜け出して待ち合わせの場所に向かう。
昔よく連れて行ってもらったオーセンティックバーに、約束の午後八時より少し前に着いて待っていた。カウンター席でひとりグラスを傾けていると、眼鏡をかけたロマンスグレーの紳士が軽く片手を上げてこちらにやってくる。
素敵に年を取っているなと感じる彼に、一度腰を上げて挨拶をする。
「お久しぶりです、御村先生」
「ああ、何年ぶりだ? 一人前になったな」
笑顔で俺の肩をぽんぽんと叩かれ、俺も懐かしさが込み上げて口元が緩んだ。
軽井沢で就職してから数回連絡は取ったが、ここ数年はご無沙汰していた。席について互いに酒を嗜みながら近況を話すと、御村先生は頷きながらしっかり耳を傾けてくれる。
「霧子ちゃんからも少し聞いていたが、事務所は軌道に乗っているようだな。水篠くんは私が知る中でも特に優秀だったから、早くに独立しても成功するだろうと思っていたよ」
感心したように言われ、軽く首を振って謙遜した。