義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「この間、あのストーカーに〝男の格好をするなんて気色悪い〟的なこと言われたとき、自分の人格を否定された気がして悲しかった。まあ、そう思われても仕方ないよなっていう、諦めの気持ちもずっとあったんだけどね」


 聖さんたちの事務所での一件を思い出し、腹立たしさも蘇ってくる。しかし、アキちゃんはどこかすっきりとした様子。


「でもりっちゃんが、『男でも女でも、アキちゃんはアキちゃんです』って言い返してくれて、すっごく感激した」


 目をしばたたかせる私に、彼女はとっても綺麗な笑顔を向けた。


「告白なんかしたら友達じゃいられなくなるかもしれないって思ってたから、アタシの本心を知っても全部を認めてくれたことが最高に嬉しかったんだよ。それだけで満足して、付き合うとかどうでもよくなっちゃって、今もこうやって会えてるだけで本当に幸せ」


 私にもあった彼女と同じ不安が、花びらのように舞って消えていく。ずっと仲よくしていたいという気持ちはお互いに重なっていたのだとわかって、心が一気に軽くなった。

 安心したら涙腺も緩んで、瞳に薄い涙の膜が張る。
< 239 / 265 >

この作品をシェア

pagetop