義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
愛の告白は取り下げます
十二月に入り、お店にも住宅街にも、至るところでイルミネーションの明かりが輝くようになった。
師走は文字通り忙しく、聖さんとは誕生日当日まで会えそうにないので、私もコンビニのバイトで寂しさを紛らせている。例のパワポもなんとか完成させられたし、あとは心の準備をするだけ。
運命の誕生日を約一週間後に控えた今日、母の再婚相手との食事会をする日がやってきた。高級料亭で夕飯をいただくことになっていて、私と母は約束通り七時に向かった。
ライトアップされた美しい日本庭園を楽しめる廊下を通り、個室へ案内される。
新しい家族になるのはどんな人たちなのだろう。ついさっきも、母は『絶対うまくやっていけるから大丈夫』と言い切っていたのだが、どうしてそんなに自信があるのか逆に心配になる。
緊張しつつ、すでに男性ふたりが待っていたお座敷に上がった瞬間、私は瞠目した。
──水篠社長と、聖さんがいる?
「……え」
思わずまぬけな声が漏れた。スーツ姿の聖さんも、私を凝視して呆気に取られている様子だ。
時が止まったように固まる私たちの傍らでは、お互いの親が呑気に笑っている。私は状況が呑み込めず、母の袖を引っ張る。